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2014年7月29日 (火)

呼吸

 上手な息遣い。実はそれが、バイオリンの演奏にとても大事なのだ。
「バイオリンの演奏に呼吸?」
 そう思われる方もいるかもしれない。しかし、呼吸は演奏技術があるのを大前提とすれば、その次に大切なものなのである。呼吸自体が技術の一つといえるかもしれない。
 それを端的に理解するのには、アマチュアとプロの演奏の仕方を見比べてみるとよくわかる。
 プロの演奏は見ていてとても美しい。楽器の動きとともに、演奏者も適度に動いている。音がきれいであるだけでなく、見た目もカッコイイ。
 アマチュア、それもあまりうまくないアマチュアは、演奏が見ていて不自然だ。音に乗っているのはわかるが、その乗り方が乗りすぎだったり、逆にカチコチで体が上手く動いていなかったり。
 これらを左右するのがズバリ、

 呼吸

 なのである。
 基本的に、バイオリンを演奏するときは、アップボウは息を吸い、ダウンボウは息を吐く、となっていると思う。その他には、演奏の開始時やちょっとした演奏の区切りに息を吸う。
 わたしもバイオリンを始めたばかりだった頃は、「呼吸」というものがまったくできなかった。理屈はなーんとなくわかるのだけれど、演奏する段になると呼吸のことなんて頭から吹き飛んでしまう。息を上手くできないので体がカチコチになり、ときどき気づいてみると息が詰まっていて胸が苦しいなんてこともあった。それだけ呼吸が不自然だったのだ。
 確かに曲の終わりの方へ近づいてくると、自分自身の気分が高まってくるのがわかる。盛り上がってくるのだ。それと同時に、「あと少しなんだから失敗しないようにしなきゃ」というまだ未熟な心も顔を出してくる。これらのダブルパンチを受けてしまうと、アマチュアは大概呼吸が苦しくなってくる。
 呼吸が上手くできていない演奏は、見ていてかっこよくない。全般的になにかかっこよくない演奏は、体のどこかにムリがかかっている。不自然なのだ。
 最近になって、アマチュアのわたしはようやく呼吸が自然にできることが多くなってきた。演奏技術に少し余裕が出てくると、呼吸にも頭が回るようになってくるらしい。そして呼吸が上手くできるようになると、技術にも余裕が生まれてきて、理想的な循環へ入ることができる。
 バイオリンを始めてみて、ここまでたどり着くのにだいぶ時間がかかった。けれどまだ、プロのような自然な演奏には程遠く、こうやって書いてみて自分の論理を確かめてみるのが、演奏していない時にできる「練習」だとも思う。
 ひたすら弾くのが練習では決してなくて、自らがどうやって演奏しているのか、などその他諸々を考えることがバイオリンの上達には必要だとわたしは考えている。
 音楽は、レベルが上がってくると、技術という観点から哲学という観点へ考え方が上昇する。そこまでたどり着くことのできる奏者は、やはりプロだろう。アマチュアが哲学を考えてみてももちろん良いのだが、そのような難しいことに頭を悩ませているよりは、現実的な練習を積むほうが良いのではないだろうか。
 まず、プロとアマチュアではキャリアが違う。プロというのは大体三歳とかそれくらいの幼い頃から毎日バイオリンを弾いているのであり、また「音楽大学」という音楽について学ぶ「大学」を出ているのだ。そんな人と同じことをアマチュアがやろうとするのは、考え方によっては自分を追い詰めているだけといえるのではないだろうか。
 アマチュアが上を目指してはいけないのか?
 そんなことはまったくない。目指していい。けれど、音楽で生きていこうと思っているのでなければ、程々にやるのが一番いい。音楽を学ぶということは果てしなく遠い世界へ足を踏み入れることである。深く学ぼうとすれば、音楽に疲れてしまうだろう。音楽をなぜ始めたのか、自分ならどうか?
 基本的に音楽は楽しみたい。そういう人が多いと思う。
 演奏にもそれぞれのやり方があると思うが、楽しむことが大事だ。音が苦(おんがく)になってはしかたない。
 弾くって楽しい!それが原点だろうから。


 そしてちなみに、まったく演奏をしない方のために補足しておくと、演奏中の呼吸は、全て鼻呼吸である。

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